標高アップによるゴルフの飛距離アップはどのくらい?

標高が上がれば気圧が下がる、気圧が下がれば空気抵抗が減る、空気抵抗が減れば飛距離が伸びる。で、実際のところ標高の高いころでゴルフをした場合に、飛距離はどの程度伸びるのでしょうか。
ゴルフボールで作る右矢印

意外に伸びない飛距離

よく耳にするのは「標高1000mだと約10%飛距離が伸びる(例:200y → 220y)」ですが、実際のところはそれほどの飛距離アップは起こらないようです。 標高が上がること(気圧低下)による飛距離の伸びは、約+5.0y/1000m(例:200y → 205y)が正しいようです。以外に飛ぶようにはならないのです。

気温の低下の影響を考慮すると、もっと飛ばない!?

標高の上昇は気圧の低下だけではなく、気温の低下を生みます。そして気温の低下は飛距離をダウンさせます(気圧の低下とは逆の現象です)。つまり、気温の低下による飛距離ダウンを考慮すると、標高の上昇による飛距離アップはもっと抑えられることになります。 標高1000mでの飛距離を例に、具体的な数字で見ていきましょう。
  • 標高1000mの気温は、標高0mより約6.5℃低下します。
  • 3.6℃の気温低下は、約1.0yの飛距離ダウンを生みます。
よって標高1000mでは気温の低下により、飛距離が約1.8y落ちることになります(約-1.8y/1000m)。 先の気圧低下による飛距離アップの記述と合わせると、標高1000mでは実に約3.2yしか飛距離が伸びない(約+3.2y/1000mことになります。 +5.0y(気圧低下の影響)-1.8y(気温低下の影響)= +3.2y(飛距離UP) +1.0y / 312.5m 以上から標高の高いところでゴルフをしても、飛距離アップは思ったほど望めないことが分かります。

なぜ、高原ゴルフでは球がよく飛ぶと言われるのか?

高原ゴルフの際に、飛距離がいつも以上によく出ると言われるのは、 (1)「実際はいつもと大して変わらないのだけど、よく飛ぶ、よく飛ぶと言われる(信じ込む)ことで飛んでしまっている」、つまりプラシーボ効果の働きによるものなのかも知れません。 (2)夏は芝の生長がいいので、フェアウェイでもフライヤーの影響が出ているのかも知れません。 (3)空気抵抗が減ることでヘッドスピードがいつも以上に増しているのかも知れません。 (4)ひょっとしたらゴルフ場の距離表示が長めに表示されているのかもしれません。「凄い飛んだ」と喜んでもらうために!? 結局間違いなく言えることとしては、「高原ゴルフではいつもより球が飛ばなないよ」っていうことはないと言うことでしょうか。

標高日本一&世界一のゴルフ場での飛距離アップは?

標高の高さが日本一と世界一のゴルフ場では、飛距離がどれくらい伸びるのでしょうか。計算結果は以下の通りです。
<日本一> 菅平グリーンゴルフ(長野県) 最高標高1658m +8.29y(気圧低下の影響)-2.99y(気温低下の影響)= +5.30y(飛距離UP) +1.00y/312.83m <世界一> ヤク・ゴルフコース(インド) 標高3970m +19.85y(気圧低下の影響)-7.16y(気温低下の影響)= +12.69y(飛距離UP) +1.00y/312.84m <世界一> ラ・パスゴルフクラブ(ボリビア) 標高3291m +16.45y(気圧低下の影響)-5.94y(気温低下の影響)= +10.51y(飛距離UP) +1.00y/313.13m
*世界一標高の高いゴルフ場は情報が2つあったので、両方とも計算しました。ギネス記録では、ヤク・ゴルフコース(インド)が世界一となっています。 Highest golf course|Guinness World Records(ギネス)
*すべて標高0mを基準に計算した結果です。
*小数第3位を切り捨てで計算しています。
▼ 参考文献 ゴルフは科学でうまくなる|楽天ブックス ゴルフは科学でうまくなる|Amazon 【注釈】上記の本のp32に「最後は気圧で、標高1000メートルのコースは、標高0メートルのコースより5ヤード飛ぶという」との記載があります。 本記事では気温の低下の影響が含まれていない記述と捉えて記事を作成いたしましたが、実際は気温の低下の影響が含まれた記述かも知れません。 よって「標高1000mでは、標高0mより3.2yまたは5.0y飛距離が伸びる」とさせていただきます。 ▼ 関連記事 ゴルフの飛距離に影響を及ぼす要因を総まとめ 日本一&世界一標高の高いゴルフ場
タイトルとURLをコピーしました